愛と恐怖の心霊夜話

第19回 山で迷い込んだ不思議なお祭り

祖母が聞かせてくれた、山歩きの不思議な話

お祭り

祖母から聞いた話です。いまは痴呆が進行して老人ホームに入居しており、あまり話が通じなくなってしまいましたが、元気だったころに不思議な話をいくつも話してくれました。祖母は一人暮らしで、春から秋にかけて、よくひとりで山に入っては山菜やキノコを取ってくるのが趣味でした。私達が祖母の家に行くと、その山で取れた山菜やキノコを料理にしてくれて、子供の舌にもとても美味しかった記憶があります。また、祖母はその山歩きの際に時々した不思議な体験を、いくつか私に話してくれました。

山で迷った時、向こうから祭囃子が

中でも一番興味深かったのが、山の中で見知らぬ祭りに参加した話です。それは夏の終わり頃だったそうです。祖母はその日も山に入って、山菜やキノコを取っていたそうですが、いつもよく散策する辺りから少し外れたところまで来てしまい、気がつくと道に迷ってしまったそうです。やがて日が傾いてきて、辺りが薄暗くなり、「このままではまずい」と思ったそうですが、暗くなればなるほど方向感覚が狂ってしまい、どうすることもできなかったそうです。

そんな折、薄暗い林の向こうのほうに、何か明かりのようなものがチラチラと見えました。「誰か人がいる、あの人に助けてもらおう」と思った祖母は、その明かりのほうに向かって進んでいきました。するとやがて、ドン、ドン、という太鼓の音や、ピーヒャララ、という笛の音が聞こえてきたそうで、そのまま進むと開けた広場に出たそうです。その広場の真ん中には木の祭壇が組まれ、炎が燃えていて、その周囲を大人や子供が踊りながら回っていました。山中に突然現れたお祭りの光景はとても幻想的だったそうで、祖母はしばらくぼうっと見とれていたそうです。

火を囲みながら踊り続ける不思議な人達

気がつくと、そんな祖母の横にひとりの人が立っていたそうです。その人は男性で、若者と中年とも思える不思議な佇まいをしており、彫りが深く端正な顔立ちをしていた(祖母曰く「ハンサム」)そうで、無言で祖母のほうをじっと見ていました。気付いた祖母は「すみません、どうやら道に迷ってしまって、明かりが見えたので……」と言うと、男性はニッコリと笑い「そうですか、それは大変でしたね。よかったら祭をご覧になっていって下さい」と言い、奥のほうに案内してくれました。

男に案内されたところには小さな祠がありました。古いながらも手入れが行き届いた雰囲気で、何を祀っているかは分からなかったそうですが、とても大切にされている様子だったそうです。男はその祠の手前にある階段に祖母を座らせると、竹を切り出して作ったコップにお酒を一杯ついで持ってきてくれました。それを祖母が受け取ると、またニッコリと笑い、お祭りの喧噪の中に消えていきました。そのお酒は今まで飲んだどのお酒よりも美味で、祖母は階段に座り、ちびちびとお酒を飲みながらずっとお祭りの様子を眺めていたそうです。火を囲みながら踊り続ける彼らは、いつまで経っても誰ひとりとして休もうとしませんでした。そのうち祖母のほうが座ったまま眠ってしまいました。

目を覚ましたら…

気がつくと、辺りは明るくなっていて、お祭りは終わっていました。それどころか、広場には人の気配が全くなく、祖母がただひとり、祠の階段にぽつんと座っているだけでした。昨晩あんなに燃え盛っていた祭壇の炎も跡形もなく、燃えかすや灰すら残っていませんでした。「もしかして狐か狸にでも化かされた?」そう思ったそうですが、背中には誰かが掛けてくれたらしき動物の毛皮が残っており、昨日のあれは夢ではなかったことがわかりました。毛皮はどうしようか迷ったそうですが、持って帰るのも悪いと思い、祠の前にそっと置いて「昨日はありがとうございました。おかげで助かりました」とお礼を言い、両手を合わせて一礼しておいたそうです。

帰りの道はすぐにわかったそうです。昨日あれほど迷ったにもかかわらず、なぜか「こっちに行けば帰れる」という感覚があり、その感覚に従って林の中を歩き続けると、5分もしないうちに見慣れた山道に出ることができました。昨晩はもらったお酒以外何も口にしていないはずなのに、なぜか身体じゅうに生気がみなぎっており、祖母は足取り軽く下山し、山道の麓の駐車場まで辿り着きました。車のボンネットや屋根には、なぜか落ち葉がうっすらと積もっていたそうです。

祖母はそのまま車に乗り、家に帰ったそうですが、帰って驚いたのは、まず家を出た日から3日も経っていたということ。祖母は一人暮らしなので溜まった新聞受けを見て日付に気付いたそうで、テレビをつけて改めて確認してびっくりしたとのことでした。「あのお祭りは一体何だったのか今でもわからないけど、きっと、この世のものではなかったのかも知れないねえ」そう話していたのを覚えています。

(夕穂さん 38才・神奈川県)

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