愛と恐怖の心霊夜話

第20回 これは精霊ではありません。旅先で撮った写真に謎のオーブが写り……

従妹に見せられた不思議な画像

オーブ

皆さん、オーブって知っていますか?テレビ番組の心霊特集やその手の雑誌、マンガなどでよく取り上げられる謎の光る小球体のことです。写真やビデオの画像に収められるケースが多くて、それを霊魂のエネルギーや自然の精霊が可視化した姿だと言う人もいれば、カメラレンズに付着した埃が水蒸気をまとってフラッシュを反射し、宙を飛んでいるように見えるだけという否定論者もいます。

かく言う私自身も、その正体はよく分かりません。でも、生のオーブ写真を撮影したことがある人なら知っています。母方の従妹で、3年前の当時、女子大生だった美穂ちゃんです。その年の夏休み、彼女は恋人の男の子とドライブ旅行へ出掛け、ある有名な観光地で偶然、光る球を撮影したのです。その画像を見せてもらったのは、美穂ちゃんが旅行から帰った直後のことでした。待ち合わせたカフェでお土産を渡され、そのついでみたいな感じで「そう言えば、こんな不思議な物が写ったよ~」とスマホの画面を向けられました。

木漏れ日が差し込む薄暗い森の中に小さな祠の鳥居が立っており、すぐ横で美咲ちゃんの彼氏がピースサインを構えて立っているという、一見ありふれたスナップでした。しかし、よく目を凝らすと彼氏のちょうど頭の上に、ややいびつな形をした青白い球体が3つ並んで浮かび、微かに尾を曳いている様子まで見えました。いずれの大きさも野球のボールくらいだったと記憶しています。最初はその場所で、仲良くツーショット写真を撮るつもりだったそうです。でも近くにシャッターを押してくれそうな人の姿が見当たらず、しかたなく交代で相手のことを撮り合ったと。その言葉通り、ほぼ同じ構図で美穂ちゃんが写っているスナップもありましたが、こちらにはオーブは写り込んでいませんでした。

「ねえ、これってもしかして心霊写真っていうやつかな」いきなりそう問い掛けられ、私は言葉に詰まりました。「絹絵さんさ、占いとかオカルトに詳しいじゃない。誰かこういう写真の鑑定をしてくれる人、知らない?」さらに畳みかけられて頭を振ると、美穂ちゃんは「ふーん、じゃあ、まあいいか」と、スマホをバックにそそくさとしまい込みました。

「変な写真が撮れちゃったから気にしているの?」
「いや、私は別にしてないよ。でも健也がね」
「一緒に行った彼氏?」
「そう。あいつ、見掛けに寄らずちょっと迷信深いところがあるんだよね。じゃあ、これからバイトだから、またね!」美穂ちゃんはそう言って笑うと、明るく手を振りながら店から出て行きました。

彼氏の様子が急におかしくなり……

美穂ちゃんから再び連絡があったのは、それから1ヶ月後のことです。最初はメールが送られてきて、そこには「この前のオーブ写真、占い師に見てもらったよ」と書かれていました。好奇心をくすぐられてすぐに電話をすると、「詳しいことは会って話す」と言われ、翌日、彼女の方から私の家へ遊びに来たのです。

「占い師って言ってたけれど、どんな人に見てもらったの?」
「先週、健也と一緒に横浜の中華街へ遊びに行ったんだ。そうしたら占いのお店がいっぱいあって、そのうちの一軒に入って運勢を見てもらった後に……」例の写真のことを思い出し、その女性占い師に鑑定してもらったそうです。

「その人、霊感があるらしくてさ、しばらく画像を眺めてから『これはここの山に住む自然の精霊ですね』って言ってたよ。たまたま健也と波長が合ったんで、写り込んだんだって。写真から強いパワーが出てるから、お守りにすると良いって」
「へえ、悪いことを言われなくて良かったじゃない」
「うん、でもね……」美穂ちゃんは急に言い淀み、上目遣いにこちらを見つめてきました。
「どうしたの。何か心配事でもあるの?」
「最近、健也が変なんだよね」

彼女が言うには、旅行から帰って少し経った頃から、健也という恋人の男の子が「最近、家でもオーブが見えるようになった」と主張し始めたそうです。
「夜、アパートの部屋で寝ていてふっと目が覚めた時なんかに、光る球が天井に浮いているのが見えることがあるんだって。大抵はすぐに消えちゃうらしいんだけど、たまにしばらく見え続けていることもあって、この前はそれを捕まえようとしたらしいよ」 「えっ、まさかオーブを捕まえたの?」 「ううん、結局捕まえることはできなかったんだけどさ、両手で押さえ込もうとした瞬間、誰かがクスクス笑う声が聞こえたって言ってた」

そんな話を聞きながら、私は理由もなく胸騒ぎを覚えました。
その後、私は転職先が決まって実家のある静岡から東京に引っ越しました。それを機に美穂ちゃんとも疎遠になってしまい、2年以上連絡も取り合わない状態が続いたのです。そして久しぶりに再会したのは今年の春、母方の親戚の葬儀の席でした。

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女子大を卒業後、地元の金融機関に就職した美穂ちゃんは、すっかり大人びた雰囲気に変貌していました。以前に比べて体型も細くなっており、ダイエットでもしたのかなと思っていたのですが、よくよく見るとその顔にはやつれた影が浮かんでいました。そんな彼女が葬儀の翌日に私の実家へいきなりやって来て、「相談に乗って欲しいことがある」と手を握り締めてきたのです。

「いったい、どうしたの?」
「前に見せた画像のこと、覚えてる?」
「ああ、オーブの写真ね。覚えてるよ」
「じつはあれから色々あって、健也とは別れたの」

唐突な告白にどう答えて良いのか分からず、しばらく彼女の顔を無言で見つめました。すると美穂ちゃんは目にうっすらと涙を浮かべ、自分が体験した一部始終を震え声で語り始めたのです。その内容を要約すると……、

2人で旅行へ行った日を境に、少しずつ健也の様子がおかしくなっていった。最初の頃はオーブが見えるようになったと騒ぎ、やがて昼と言わず夜と言わず、何枚もの写真を連続して送ってくるようになった。いずれも自分のアパートの自室内を撮影した画像で、本人が言う通り、そこには光の球らしき物体が確かに写り込んでいた。さらに狂ったような写真送付はある時を境にピタリと止まり、同時に本人との連絡が全く取れなくなってしまった。自分はその時、就職活動の真っ最中だったので、健也のことが気になりながらも取りあえずそのまま放っておいた。やがて無事に就職先も決まってやっと身辺が落ち着いたので、数ヶ月ぶりに彼のアパートへ行ってみると、すでにその部屋はもぬけの殻で誰も住んではいなかった。

その後、健也の実家とのコンタクトも試みたが、電話に毎回出る彼の母親は「息子は大学を中退して、関西方面に引っ越した」と繰り返すばかり。それ以上の情報は一切教えてくれなかった……。にわかに信じがたい話を聞き終えて、しばらく呆然となりました。(もしかしてこの子、心を病んでいるのかな)と疑ったのですが、そんなこちらの表情を見て取ったのか、美穂ちゃんは自分のスマホを突きつけてきました。

「ほら、これ。今でも時々、健也から送られてくるの」
手渡されたスマホの画面には、薄暗い室内に浮かび上がる歪んだ光の球が映っていたのです。
上京以来、たまに電話でご相談していた花染の先生に一連の話をお伝えしたところ、すぐに知り合いの霊能者を紹介していただくことができました。美穂ちゃんを連れてそのお寺に伺い、住職をされているという僧侶の男性に問題のスマホ画像を見せたところ、とたんに顔色が曇りました。

「ああ、これは……」
「何ですか?先生、どういうことなんでしょうか!」
脅える美穂ちゃんに代わって私が訊ねると、霊能者の男性は静かに画像を指差しました。
「まず、この光の球ですが、山の精霊なんかじゃありません。複数の女の自殺霊が凝り固まったたちの悪い霊波動です。最初にカメラに写り込んだ時に、隙を見てその男性に憑依したんでしょう」

「何故、今も彼女の許へ写真が送られ続けてくるんですか?」
「恐らく恋人だったこちらの女性に向けて、わずかに残ったまともな意識を振り絞ってSOSを発し続けているのだと思います。『ここから助け出してくれ』って。でも、こうなるともう手遅れだろうなぁ。取りあえず携帯の番号やメールアドレスなどは全部変えてください。その上で入念にお祓いさせていただきますから、この先、この女性に危害が及ぶことはないはずです」

霊能者が説明を終えると、うつむき加減で黙っていた美穂ちゃんが急に口を開きました。」
「あの……それで先生、この人、け、健也は、今どこで何をしているんでしょうか」
「関西へは行っていません。今もご実家におられます。カーテンを閉め切った暗い部屋の中で、毎日、オーブに向かって話し掛けています。すでに人として壊れてしまっているので、ご家族はそれを隠すため、あなたに嘘をついたのでしょう」
それを聞くなり美穂ちゃんは、その場で静かに泣き崩れました。

(絹絵さん32才・東京都)

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