愛と恐怖の心霊夜話

第22回 死の匂いを嗅ぎ取る彼女

M美が持っていた、不思議な力

死の匂い

これは大学生の頃に付き合いがあった友達、M美の話です。私自身に霊感はまったく無く、心霊体験の類も一切無かったのですが、そのM美と一緒に行動していた時、何度か不思議な体験をしました。彼女は中国地方から上京してきた子で、一年生の春学期の講義でたまたま隣同士の席になって私から話しかけたのがきっかけで仲良くなりました。すごく美人なんですけど、なんていうか、あまり今っぽい雰囲気ではなくて、女子大生達の中でもちょっと目立っていたというか、悪く言うと浮いていました。それもそのはず、仲良くなって話をいろいろ聞いているうちに、M美は地元で有名なお屋敷の一人娘で、小中高も私立の一貫校。箱入り娘として大切に育てられたようで、大学に入るまで年頃の女の子らしいことを全くしてこなかったそうです。そんなM美には不思議な力がありました。

彼女に手を引かれ、その場を立ち去った直後…

最初に目の当たりにしたのは大学一年の夏頃。いっしょに繁華街で遊んでいた時です。気になっていたカフェに寄ったり、雑貨屋巡りをしたりして、女子大生らしい一日を過ごしていた私達。すると雑踏の中で、きゅうにM美がハッとした表情を浮かべ、「ここから離れよう」と言い、そのまま私の手を取って走りだしたんです。M美に手を引かれながら、思わず「どうしたの?」と質問すると「お願い、あとで説明するから」とだけ言われました。

もしかしたら気まずい元カレでも見かけたのかな? だとしたらいつの間にそんなことしてたんだろう、やるなあ、なんて妄想しながら、M美と一緒に走りました。少しすると彼女は足を止め「大丈夫、もう匂いしなくなった」と言いました。匂い? なんのこと? そう尋ねようとした矢先。私達がさっきまでいた方の人ごみから「キャーッ!」という悲鳴が聴こえてきたんです。「何々? なんかあったのかな、もしかして事件かな?」好奇心が湧き、思わず悲鳴のした方向をじろじろ見る私。その傍らで、M美は少し青ざめた顔をしながら無言で立っていました。しばらくすると、けたたましいサイレンを鳴らしながら救急車がやってきました。どうやら飛び降り自殺があったようでした。

「バカにしないでね。私、人が死ぬのがわかるの。匂いがするの」気を落ち着けるために入った飲食店のテーブル席で、M美はそう言いました。彼女いわく、その匂いはさまざまだそうで、ある時は線香のような香りだったり、またある時は血の匂い、腐った肉のような匂いだったりすることもあるそうです。

「さっきは急に血の匂いがした。この匂いがする時は大体事故が起きる。だからあなたの手を取ってその場から逃げたの。巻き込まれたくなかったから」そう話すM美の言葉は、まるで心霊サイトで見かける怪談話みたいでした。当時の私はあまり心霊系のことに興味がなかったので、もし話だけ聞いていたら信じなかったでしょう。

でも、現にさっきM美に手を引かれて立ち去った場所で飛び降り自殺が起きたんです。M美の言葉にはリアルな信憑性があり、私はそれを信じざるを得ませんでした。「気味悪いって思うでしょう。ごめんね」そう言うM美に、「そんなこと思わない。だってさっきあなたが手を取って走ってくれなかった飛び降りに巻き込まれていたかもしれない。感謝だよ」そう私は返しました。そして「他の人には言い辛いかもだけど、私にはなんでも話して。その匂いがしたらすぐ教えて」って約束しました。

同級生の子から漂っていた不穏な匂い…

それから数ヵ月後、私には友達が何人かできました。一方、M美も何人かの男性に告白されたそうですが、全員振ってしまったそうです。そしてそこから「あいつは美人だけど性格が悪い」という評判が立ち、友達は私以外いないという状況になっていました。そんなM美を放っておけなくて、私はなるべく彼女といっしょに行動するようにしました。

周りの友達は「あの子苦手」と言っていましたが「ちょっと変わってるけどいい子だよ」と言い、なるべく誤解を解いてあげるように努力していました。そんなある日、M美と一緒にキャンパスを歩いていたら、その友達3人グループとすれ違いました。私はかるく会釈をして「またね~」なんて言ってそのまま通り過ぎました。するとその少し後、M美が私の服の裾を引っ張り「ねえねえ、右端の子から変な匂いがした」って言い出したんです。右端の子はS帆。大学から少し離れた駅で独り暮らしをしている子です。

あの匂い……夏に自殺を予知した時の匂い? えっえっ、どうしよう、S帆に知らせなきゃ、でもどう言えば……。私はとりあえずスマホを取り出し、S帆のLINEに通話を入れました。S帆はすぐに出てくれました。「S帆? 今まだ学校? 今からちょっと会えない?」そう言うとS帆はOKして、私の指定した待ち合わせ場所に来てくれました。S帆はM美のことをあまり好きではないみたいで、待ち合わせ場所で私の横にM美がいるのを見かけると一瞬曇った表情を浮かべましたが、「M美と三人でご飯を食べにいこう」と言うと、しぶしぶついてきてくれました。そして大学近くのレストランで食事をしました。

S帆とM美はそこで少し打ち解けて、仲良くなりました。「M美さんってもっと話しにくい子だと思ってた、誤解してたかも、ごめんね」なんて言っていました。そんな食事の最中、S帆のスマホに着信が入ったんです。発信は親から。「もしもし、えっ……そうなの? 大丈夫だよ、いま友達と大学近くのレストランでご飯食べてる、だから大丈夫だってば、うん、大丈夫、またあとで電話するから」そう言って電話を切ったあと、S帆は私達に説明してくれました。「私の最寄り駅、こっから電車で3駅先の○○じゃん? そこで通り魔事件があったみたい。お母さんが心配して電話をかけてきた」とのことでした。もしかして、M美が感じたあの匂いってこのことじゃ……。ふとM美を横目で見ると、なんだかホッとしたような表情を浮かべていました。

夜9時頃に解散して、私達はそれぞれ帰途につきました。M美は大学の最寄り駅に住んでて、私は実家から通ってて、S帆は私とは違う方向に電車で数駅行った先なので、駅前でバイバイしました。それから1時間ほどして、S帆からLINEが入ってきたんです。「例の通り魔事件、私の家のほんとにすぐ近くだった。いつも帰りに通ってる道。今日ご飯に誘ってもらってなかったらヤバかったかも。ほんとにありがとう。M美さんにもお礼しなきゃ」とのことでした。

ついに私自身からも…

そんなM美の不思議な力で一番覚えているのは、大学2年生の秋ごろのこと。キャンパスでM美と会ったらいきなりうろたえ出し、「どうしよう、変な匂いがするの」と言い出したんです。M美の力が本物であることは私自身よくわかっていました。だから私も狼狽しました。「このままだと私死んじゃうの!? どうすればいい!?」と半泣きでM美に泣きつきました。でも、M美はすがりつく私に「大丈夫、違った。これ佑香ちゃんからじゃない」と言い、「でも佑香ちゃんに変な匂いが染み付いてる。肉の腐るような……。私と会う前に誰か具合の悪い人に会った?」と質問してきました。

私がその日、M美に会う前に最後に顔を合わせた人……母親です。父は前の日から出張で家を開けていたし、兄はもう社会人で実家を出ています。「まだそんなに強い匂いじゃないから大丈夫。でもお母さん、病院で検査受けたほうがいいかも」事情を話すと、M美はそう提案しました。私はその夜、母にお医者さんでの精密検査を薦めました。母は「特に具合の悪いところなんかないわ」と言いましたが、それでもお母さんが心配だから、と何度も言い、半ば強引に検査を受けさせる約束をしました。

それから数週間後、母は大きな病院で精密検査を受けました。少し経って結果が出ました。なんと母の体から超初期のガンが発見されたんです。すぐに手術が決まりました。幸い本当に早い段階で発見されたので、患部を切除する小さな手術で完治するとのこと。手術も無事に成功し、「佑香ちゃんから検査を勧められて本当によかった」とお礼を言われました。でも、本当に母を助けたのはM美です。私はM美のことを母に説明しました。母は半信半疑でしたが、「そのお友達にもお礼を言っておいて」と言っていました。私はM美に何度もお礼を言いました。M美は母の命の恩人なのです。

その後、私達は大学を卒業し、ふたりともそのまま東京で就職。M美は3年前、私は2年前にそれぞれ結婚しました。M美は子供も産まれ、いまは専業主婦として育児の真っ最中とのことです。先日久々にM美と会い、あの不思議な力の話になりました。M美いわく「あの力は、出産以降ぱったりとなくなってしまった」とのことでした。

(佑香さん 31才・東京都)

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