愛と恐怖の心霊夜話

第28回 影法師

従兄弟が死ぬ数日前、瓜二つの人を見た

影法師

数年前に従兄弟を亡くしました。死因は自殺です。子供の頃から親戚の集まりのたびによく遊んだ仲で、大人になっても時々会って話す仲だったので、本当にショックでした。しかも、死ぬ数日前に従兄弟の姿を見ていたのです。場所は、私の住んでいる最寄りの駅前です。人通りを隔てた向こうをゆっくりと歩いていたのです。かなり遠目でしたが、子供の頃から彼を知っているので、見間違えることはまずありません。一目見て「あっ、従兄弟だ」と思ったのです。それで、声を掛けようとして近付いたのですが、人の往来に阻まれ、気付けば見失ってしまいました。

その数日後、彼は自ら命を断ちました。知らせを受けてすぐ病院へ駆けつけましたが、発見された時点ですでに心肺停止の状態で、もう何もかも手遅れでした。彼の死に顔を見ながら、私は数日前のことを後悔していました。もしかして彼は私に会いにきたんじゃ。何か悩んでいることがあったのでは。私があの時声を掛けられていれば、彼の自殺を思い留まらせることができたのでは。そう思い、後悔の気持ちで胸がいっぱいになりました。そして彼の母親である伯母に「実は数日前、私の住む最寄り駅前で彼を見かけたんです」とお話しました。すると伯母はびっくりした顔をして、「そんなはずないわ。だってあの子は最近ずっと部屋にひきこもっていたから……」とおっしゃったんです。

一瞬、頭が真っ白になりました。私はあの日、最寄りの駅前で彼を見ました。間違いありません。あれは彼でした。でも一緒に暮らしている伯母が「ずっと部屋にひきこもっていた」と言うのなら、それは真実なのでしょう。とっさに「じゃあ見間違えだったのかな……」とお茶を濁しました。するとそこに親戚のおじさんが入ってきて「私も数日前に彼とそっくりな人を見かけたんですよ」と言い出したんです。その人は私や従兄弟の住む街からだいぶ離れた場所に住んでいる人です。おじさんに彼のそっくりさんを見た日を聞いてみたところ、私が彼のそっくりさんを見た日と同じ日、時間帯も同じ頃でした。偶然とは思えない一致に、私達は思わず静まり返ってしまいました。「もしかしたら、あの子は死を決意して、昔お世話になった人に挨拶に行っていたのかもしれないわね」伯母さんがそう呟きました。

人は死の数日前になると魂が肉体から抜けかかるそうです。そして、分離した魂だけが移動して誰かに会いに行ったり、思い出の場所を巡ったりするそうです。これはいわゆる「ドッペルゲンガー」と呼ばれる現象で、東洋では「離魂」「影法師」などと呼ばれるそうです。彼はきっと部屋に引きこもったまま私に会いに来たのでしょう。そう考えると、なんだか切なくなりました。

(茜さん 27才・愛知県)

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