第23回 パワハラ社員の背中に憑くもの - 愛と恐怖の心霊夜話
愛と恐怖の心霊夜話

第23回 パワハラ社員の背中に憑くもの

以前働いていたブラック企業の話

パワハラ

以前、働いていた会社で起きた出来事です。その会社は社員のパワハラが横行する、いわゆるブラック企業というものでした。パワハラの元は30代独身のS部長。社員歴が長く仕事はそこそこできる方なのですが、下への贔屓が激しく、気に入らない社員には当たりがとても厳しいのです。「その人に嫌われるとこの会社ではやっていけない」ということで、皆がそのS部長の顔色を伺っている状況でした。そして、私はそのS部長に嫌われてしまったのです。きっかけはほんのささいなことです。入社した直後であまり勝手が分からず、S部長のおっしゃったことに質問をしたんです。それがS部長には“反抗”に思えたようで、その瞬間から態度が急変、私はロックオンされてしまったんです。

他の社員達は私に同情してくれましたが、かばってくれるつもりはないようで「S部長に嫌われたならこの会社に長居しないほうがいいよ、持たないから」と言ってきました。なんでもS部長は今までもそうして何人もの社員に圧力をかけて辞めさせてきたらしいのです。中には心を壊して精神科通いになってしまった人もいるとか……。きっと彼らも自分の身が可愛かったんでしょうし、そんな中でその提案が私に対して出来る限界ぎりぎりの優しさだったのでしょう。まだ入ったばかりなのにもう次の職を探さなければならないのか、と溜息がこぼれました。

S部長の背中に憑いていた黒い何か

そんなある日、S部長の後姿に何かモヤモヤしたものが見えたんです。最初はストレスで目が霞んだのかと思いましたが、他の社員さん達の背中には何も見えません。S部長の背中だけ、何か黒いもやもやしたものが見えて、異様に暗くなっているのです。あまり見ているとまた難癖付けられると思い、しばらく見て目をそらしましたが、それ以降もS部長が視界の端に入る度に、黒いもやもやしたものが見え隠れしました。私にはそれまで霊感の類がまったく無く、心霊体験もしたことがなかったのですが、その時は精神的に追い込まれていたこともあり、「もしかしてこの人には悪いものが憑いていて、それでおかしくなっているのではないのだろうか」と思うようになりました。

確かあれは入社して3ヶ月目くらいだったと思います。私は仕事でちょっとしたミスをしてしまいました。それを知ったS部長は、物凄い形相で私を怒鳴り、別室へ来るように命令してきました。この時点で胃がキリキリとしたのですが、私は覚悟を決め、S部長の待つ別室へと行きました。そこで小一時間ほど怒られました。「役立たずを飼っている余裕はないんだよ」「君は社会を舐めている」「この仕事は向いてない、辞めたほうがいい」と言われ続け、それにひたすら耐え続ける、地獄のような時間でした。でも、そんな中、あることに気付いたんです。その部屋には私とS部長しかいないのですが、S部長のネチネチとした罵詈雑言の他に、ヒソヒソという誰かの囁き声が聴こえるんです。それに気付いた時から、私の意識はそっちに向かってしまい、S部長の罵詈雑言がまったく耳に入らなくなってしまいました。その囁き声はS部長の背中から出ていたんです。罵詈雑言の切れ目に訪れる沈黙の最中、耳を澄ましていると「S、死ね……。S、死んでしまえ……。S、地獄に落ちろ……」と言っているんです。本当に怨みがましい声でした。私もS部長には当然良い感情を抱いていませんでしたが、その声からはそこはかとない怨念が伝わってきて、寒気がしました。

S部長の退職後、黒いモヤモヤが他の社員にも…

それから半月も経たないうちに、S部長は会社に来なくなりました。なんでも急に体調を崩したとのことでした。社内に平穏が訪れて、皆がホッとする雰囲気が私にも伝わってきました。そうすると始まるのがS部長の悪口大会。皆本当はS部長のことが嫌いで、でも怖くて逆らえなかったのです。S部長が居なくなったのをいいことに皆がS部長を悪く言い始めました。彼らは私に「今まで大変だったでしょう」「あいつ最低だよね」と言ってきてくれましたが、そうやって掌を返す彼らの態度も気分が悪かったです。

S部長は結局そのまま自己都合退職ということになりました。災いの種がいなくなってホッとしましたが、ある日、私は気付いてしまったんです。S部長の背中に見えていた黒いモヤモヤが、S部長がいなくなって、他の社員さん達数名に憑いていたんです。そのモヤモヤが憑いた社員さんは元々そんなに性格が厳しい方々ではなかったのですが、そのうち口調がどんどん厳しくなっていき、常にイライラした口調で誰かを怒鳴るようになりました。もし私にあれが憑いたら、私もああいう風になってしまうのか……。そう考えると「この会社はすぐ辞めるべきだ」という決意が芽生え、私はその1ヶ月後に退職しました。

あれは何だったのでしょうか。人の悪い思いが形になった存在? それとも悪霊? 今でも分かりません。その会社を退職して以降、その黒いモヤモヤは見たことがありません。でも、あの時S部長に怒られている部屋で聞こえた「S、死ね……。S、死んでしまえ……。S、地獄に落ちろ……」という囁き声は今でも忘れられません。

(綾さん 27才・千葉県)

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