霊能者が修行する日本の霊山②出羽三山
出羽三山~即身仏が眠る神々と仏の地
所在地 山形県鶴岡市・庄内町・西川町にまたがる
開山年 推古元年(593年)
開山者 蜂子王子(湯殿山別当の説では弘法大師)
山を守護する御本尊と神様
[羽黒山]聖観世音菩薩
垂迹(神道での神名)は羽黒彦・玉依姫 現在では稲倉魂命(羽黒権現)
[月山]阿弥陀如来
垂迹(神道での神名)は月読命
[湯殿山]薬師如来・大日如来
垂迹(神道での神名)は少彦名命・大山祇命
羽黒山、月山、湯殿山の三峰を合わせて、出羽三山と呼び習わしています。その開祖は崇峻天皇の第三王子である蜂子皇子(能除太子)とされ、この皇子は父である崇峻天皇が政変により暗殺されたとき、難を逃れて出羽国に赴き (異説では自らの顔が醜いことを悲観して世俗を捨て)、やがて三本足の鴉の導きによって羽黒山にたどり着いたことから、この山中に籠もって修行を始めたのが開山の端緒と伝えられています。ただしこれについては別説もあり、真言宗を奉ずる湯殿山では開祖を弘法大師(空海)としています。
なお中世期までの出羽三山は、湯殿山ではなく葉山または鳥海山がその一峰を占めるとされてきました。今の三山となったのは室町時代後期からです。この頃より三山を指して三所権現とも呼ばれ、奥の院(主の神様)は湯殿権現でした。やがて江戸時代に入ると羽黒山と月山は天台宗、湯殿山は真言宗の管掌するところとなり、さらに明治期の神仏分離令を経て、羽黒山は出羽三山神社と羽黒山修験本宗などの宗派に別れました。現在、それぞれの山頂には月山神社、出羽神社(羽黒山)、湯殿山神社があり、今もなお多くの参詣客を集めています。また出羽三山といえば即身仏信仰(衆生を救うため穀物を断つ修行を続け、自ら命を絶って仏となること)でも有名ですが、湯殿山にある瀧水寺や注連寺では、即身仏となった上人たちの遺骸(ミイラ)を実際に拝観することができます。
神々と仏が共存する出羽三山は、神仏分離以前の信仰の姿が色濃く残る稀少な聖地です。その厳かな気のエネルギーには、霊感の鋭い方ならずとも必ず心打たれることでしょう。