霊能者が修行する日本の霊山③比叡山
所在地 滋賀県大津市
開山年 延暦13年(794年)
開山者 最澄
山を守護する御本尊と神様 薬師如来
比叡山とは、滋賀県大津市西部と京都府京都市北東部にまたがる山。大津市と京都市左京区の県境に位置する大比叡と、左京区に位置する四明岳の二峰から成る双耳峰の総称です。高野山や恐山と並び古くより信仰対象の山とされ、延暦寺や日吉大社があり繁栄しました。別称は叡山、北嶺、天台山、都富士などと呼ばれています。
最澄が延暦4(785)年に比叡山に草庵を結び、華厳教学を中心に、法華・般若・金光明経などを学んでいましたが、後に天台教学に転じました。そこで、延暦7年に草庵を比叡山寺と改め、薬師如来を安置して一乗止観院と称しました。後に最澄は延暦21年に高雄山寺(現:神護寺)で天台を講じ、延暦23年に還学僧(げんがくそう:短期留学の僧)として入唐。天台山などで修行し、天台・禅・密教などを学びました。それらの教学を統合して、最澄は法華経を中心とした教学である「天台宗」を立宗し、延暦25年に朝廷によって公認されます。そして最澄入寂後の弘仁14年(788)に朝廷より「延暦寺」の寺号を賜ります。
延暦寺は数々の名僧を輩出しました。日本天台宗の基礎を築いた円仁、円珍、融通念仏宗の開祖良忍、浄土宗の開祖法然、浄土真宗の開祖親鸞、臨済宗の開祖栄西、曹洞宗の開祖道元、日蓮宗の開祖日蓮など、新仏教の開祖や、日本仏教史上著名な僧の多くが若い日に比叡山で修行していることから、「日本仏教の母山」とも称されています。
現在でも境内地は広大であり、拠点である東塔、西塔、横川(よかわ)の距離は数キロにわたります。比叡山は昔から全体が神聖な場所とされてきたため環境が保全され、現在でも動植物の宝庫として残されることとなり、寺域一帯830haが鳥類繁殖地として天然記念物に指定、特に植物種が豊富で、日本の植物種の1/4にあたる1500種があるといわれています。平成6年(1994)、比叡山延暦寺は世界文化遺産にも登録されています。