こども心霊体験に関する対処法
こどもから思春期時代に霊体験を持つ方は、意外に多いのではないでしょうか。なぜならば、この時期、ひとはピュアな心を持っているからです。しかし、こどもや置かれている環境や状況によっては、保護者や周囲のおとなの関心を惹くために嘘をつくケースもあります。見極めて適切な判断・対処をせねばなりません。そこで今回このコラムでは、知人のこども(A君)が体験した心霊現象と、それを引き起こした地縛霊への対処法、こどもが霊体験を持ったとき、親はどう対処すればいいかということについて、ご紹介したいと思います。
道を這いずる、死装束の男を見た話
A君は小学校低学年。秋口の深夜の出来事です。なかなか寝付けなかったA君は、おかしな物音に気付きました。「ズルッ、ズルッ」と布を引きずるような音です。こんな時間に何かを引きずりながら道を歩いているひとがいる。違和感を覚えたA君は、立ち上がって窓辺に近づいていきました。まだ残暑の頃で、2階は網戸のまま。下の道路を見て、A君は仰天しました。男性と思われる人物が、ほふく前進のように、腕を交互に動かし、這いずりながら前に進んでいたのです。しかも白い着物をまとって。
何をやっているんだろうと、呆気にとられて見つめていると、男は顔を上げてA君と目を合わせました。その顔は老人で、頭には白い三角の天冠が付いていたのです!さすがにこどものA君でもこの世のものではない、霊体だとわかりました。しかもその瞬間、老人はニヤリと笑ったのです!あまりの恐怖に、A君はあわててふとんに潜り込み、息を潜めました。老人の這いずる音はだんだんと遠ざかっていきましたが、A君はしばらく眠れず、震えが止まらなかったことをありありと記憶しているそうです。
壁に立てかけた旗が異常な状態に変わっていた話
中学生の夏、週末のことです。当時、A君はある教材を使っていたのですが、しばらくテキストの提出をさぼってしまい、帳尻を合わせるために必死で勉強をしていました。少しノドの渇きを覚え、何か飲もうと思った瞬間、背後に気配を感じました。何とも言えない不吉な気配。その正体を知りたいという思いと、振り返ってはいけないという思いが、A君の中で交錯しました。しかし、確かめたい気持ちが勝って、思い切ってふり返ったのですが…。
すぐに後悔しました。体育祭のために用意した旗を壁に立てかけていたのですが、それが壁に立てかけたのと同じ角度で、逆向きに傾いていたからです。壁の反対側には何も置かれていませんでした。つまり、旗は空中に向かって傾いていたのです!驚くべきことに、A君は向き直って、そのまま勉強を続けました。不思議ですが、いま考えてみれば、あまりの恐怖に「無かったこと」にしたかったのだと思います。
地縛霊のいたずら
このふたつは、おそらくどちらも霊によるいたずらだと考えられます。その後、とくにこれといった霊障もなく、連続することもなかったからです。祟ったり、憑依したりするほどの力がなく、こどもを脅かすというところから見ても、いわゆる低級霊であることがわかります。しかも、引っ越し後はまったく霊現象は起こらなかったところを見ると、土地に縛られた地縛霊でしょう。
たしかにA君が当時住んでいた場所は、いわゆる「いわくつき」の場所で、ほかにも霊体験をした方が多いことが後々判明しています。しかし、その「いわく」の霊とは別もの。
こどもにわかりやすい古典的な幽霊姿といい、旗を傾かせるという、どこか稚拙なところといい、深い恨みを持った強力な地縛霊ではなく、ごく弱い霊体でしょう。こうした霊は迷惑ではありますが、除霊などは必要としないものです。
低級な地縛霊に対処する方法
偶然ですが、A君の取った行動は、じつは効果的でした。どちらの場合もある意味、霊をスルーしているからです。低級霊のいたずらは脅かすことが目的。したがって、反応が大きければおもしろがって何度もくり返す危険性があります。稚拙な現象であっても、たびたび起これば精神衛生上、よくありません。スルーするか、毅然とした対応を取ることがおすすめです。
こどもが霊体験を持ったとき、保護者はどうするべきか
こどもが霊体験をしたとき、保護者はどう対応すべきでしょうか。もっともいけないのは、ウソをついていると決め付けること。こどもの心に大きな傷を残すばかりでなく、もしほんとうの体験であった場合には、心の傷につけ込んだ霊に取り込まれてしまうことがあるからです。まず、非常に心配しているという態度を見せて、パートナーやほかの家族にも相談するところを見せます。
隣のひとに相談してみようか、などとも口にします。ウソであった場合、大ごとになるのがこわいので、こどもはこの時点で真実を話す可能性が高いでしょう。ウソであった場合、こどもに寂しい思いをさせていないか、もしくは何か不満をため込んでいないかなどをあらためて考え、チェックしてみましょう。当分はできるだけこどもと過ごす時間を増やすようにします。
ウソをついているとは思えないときは、つぎにそういうことがあったら、無視するように言い聞かせましょう。明らかな表情・からだの変化、異常な態度などが見られた場合は、地域の正式な神社やお寺でお祓いをしてもらうのがおすすめです。
成人すると霊体験は減少する傾向がある
A君の場合もそうでしたが、おとなになるにつれて、そうした経験をしなくなりました。ほかにも多くのひとがそのように言います。ですから、とくに大きな変化がない限り、心配にはおよびません。特殊な霊能力を備える方はその限りではありませんが、それはごくごく稀なケースです。
むしろこどもの頃にそうした経験を持つことによって、この世には科学で解明できない現象があること、人間でも生物でもないものが存在することが確信できるため、よい経験とも言えるでしょう。霊を架空の存在と考えると、神仏の存在や、宇宙の法則などについても認識できなくなる恐れがあるからです。
平素から、誰が見ていなくても悪いことをすれば、神さま仏さまが、天が見ていて、いつかそれを正されるときがくる。そうした教育をすることで、神仏を畏れ敬い、見えない大いなる存在を認識させ、霊格の低い傲慢な人間になることを防ぐべきです。精神世界が貧しい人間に育てば、現実しか見ることができなくなります。どんなにつらい現実があったとしても、精神世界が豊かであれば、大いなる存在・宇宙の法則の力を借りて、強く生きることができるでしょう。保護者にとって、こどもの霊体験は、見えないけれど大切な存在について話をするチャンスを与えてくれるものでもあります。お子さまがおられる方なら、機会をとらえて、ぜひそうしたお話もしてみていただきたいです。
最後にもうひとつ、お伝えしたいことがあります。こどもが霊体験を持った場合、しばらくの間ひとりでいることを怖れたり、闇を怖れたりすることがあります。当分はいっしょに寝てあげるなどもいいですが、いつまでもそうしていてはこどもの自立心が育ちにくくなるでしょう。ですから、しっかりと「生きている人間がもっとも強い」ということを伝えてあげてください。
そして、精一杯に生きることで、すみやかに天の国に旅立つことができることも併せてお話してください。また、懸命に生きていても、不慮の事故などで亡くなると、この世に未練が残ってしまうことも話しましょう。そうすることで、こどもが危険な場所に行かなくなり、交通事故などに注意するはず。一見不幸なこどもの霊体験ですが、保護者の対応次第で、教育のよい機会に変えることが可能なのです。