第3回 大日先生 あるキャリアウーマンのご縁を見た話
私の親族の友人にS子さんという女性がいます。
年齢は30代の終わり。有名大学を卒業後、これまた有名企業に総合職として入社し、現在は課長補佐の地位を得ているバリバリのキャリアウーマンです。じつは私自身は数回しかお会いしたことがないのですが、彼女が発散する霊気の質がかなり鋭くて、正直なところ、長い間ご一緒するのが少し苦痛に感じられるような方でした。
ある日、そのS子さんから唐突に連絡がありました。
「個人的なことで霊能者の貴方に霊視してもらいたいのだけどいいかしら?」
あくまで知り合いを見るということで、料金などは一切いただかないとお約束した上で、S子さんと直接お会いしました。ただ彼女が霊視で霊能者から何を聞きたいのかは、この時点であらかた読めていました。電話口でS子さんの魂は「結婚したい!」という意外な言葉を叫び続けていたのです。
実際にSさん本人と対面して、あらためて詳しい霊視をしました。彼女の魂の叫びを叶えるべく、赤い糸の縁を探ってみたのですが、どの縁の筋も細くて弱々しく、これといった決定打が見当たりません。放っておけば生涯独身を貫くくらいの人で、また私自身もこのときまでは、霊能者として、彼女はそういう人生を選ぶであろうと思い込んでいたのですが、心身から放射される気の力までいくぶんか柔らかく変化しており、温かい愛情を求めていることがこちらにも痛いほど伝わりました。
気を取り直してもう一度見直していると、そのうちに彼女の守護霊や先祖霊まで降りてきました。
「どうか、良い縁を結びつけてやって欲しい!」
「幾世も夫婦という関係を経験してこなかった者なので、私たちの働きだけではどうにもならないのだ!」
異口同音にそんな台詞を口にしながら深々と頭まで下げられ、霊能者の身としては緊張するばかり…。S子さんの結婚は守護する霊界に取ってもかなりの難事業なのかと、そんなことをつらつらと思いつつ、そのうちにようやく有望な縁が見えてきました。
その縁の相手というのは、S子さんのふたつ前の過去世で一定期間、恋人関係だった魂でした。あいにく前世では同性として生まれ、気の置けない友人関係として終わった縁でしたが、今回はほぼ同時期に異性として誕生しています。霊視の深度をさらに推し進めると、同じ都内に住んでいる光景まで見えてきて、さらにそこへ焦点を絞ったところ、すでに彼女の顔見知りであることまで判明しました。
「貴女、未来の結婚相手ともう会っていますよ」
「誰? それ、どんな人?!」
身を乗り出してきたS子さんに、問題の男性の外見や雰囲気、性格などを伝えたところ、「そ、それって、もしかしてKのこと…」と呟いたまま、絶句した表情になりました。じつはKさんという人物は彼女の同業他社の社員で、取引先のコンペなどで常にしのぎを削ってきた相手だったのです。S子さんはその相手に対して、異性としての意識は以前から抱いていたものの、それよりもビジネスの敵としての憎さが勝り、一人の女としての正直な感情を押し殺し続けていたようでした。
「他には誰か見えないの? この先、出会う相手とかは?」
「見えないことはないですが、たぶん貴女はこのKさんじゃないと結婚したいとまでは思わないでしょうね」
私が駄目押しのようにそれを言うと、また彼女は黙ってしまいました。自分の気持ちをあらためて振り返り、それをじっと噛み締めている様子が窺えました。
S子さんが結婚するという朗報が飛び込んできたのは、それから五ヶ月ほど過ぎた頃でした。ただし彼女の上役たちはその話にあまりいい顔をしなかったらしく、社員としてのけじめをつけるため会社を辞めたことも聞かされました。恐らくはそうした事態にならざるを得ないと彼女自身が十分に察知していたので、今まで自分の気持ちに背いていたのだと思いました。
人間にとって結婚の機会というのは、その人の学びの良い機会でもあるのだということを、霊能者として今更ながらしみじみと実感しました。本人に気力と能力さえあれば、仕事の経験を取り戻すことはできる。しかし魂がつながった相手をいったん逃せば、それを再び捕まえられるとは限らない…。そんなふたつの価値を天秤にかけて、後者の方が大切であることを悟られたのでしょう。霊界次元で定められた縁の仕組みというのは、本当に奥深いものです。 S子さん、どうか末永くお幸せに!
大日先生
利用された方々からの信頼度が抜群の先生です。様々な電話占いを利用してきたリピーターの人も、大日先生と出会ったことで、新たに信頼のおける先生を探す必要性が今この瞬間からなくなった、と話しているほどです。
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