心霊現象の実話集
第57回 山道をついてくる何か
夫婦で山歩きをしていたら、見えない何かがついてきました

夫と二人で登山を趣味にしているのですが、山中で“何か”に後をつけられたことがあります。私たちが歩く後ろからひたひたと足音がするのですが、振り返ってみても誰もいないのです。なのに私たちの歩くペースにぴったり合わせるかのように、後ろをついてくるのです。
何度か振り返って後ろを気にしていたところ、夫がぼそりと一言「休憩しよう」と言って立ち止まりました。そしてリュックから煙草を取り出して、ふうっと吸い始めたのです。夫は普段、まったく煙草を吸わないのですが、登山の時には煙草を持ち歩いており、時折こうして吸い始めます。一服し終わると、またぼそりと一言「行こう」と言い、立ち上がりました。私たちはまた山道を歩き始めました。すると不思議なことに背後の気配も足音もなくなったのです。
「山には人間でも動物でもない不思議なものに出くわすことがある。時々ついてこられることもある。だけど彼らは煙草の煙が苦手だから、ついてこられた時は煙草をふかすと良いんだよ」歩きながらそう教えてくれました。なんでも夫が子供のころ祖父から教わったそうです。
(嘉子さん 51才・東京都)