第81回 深夜の伝言
祖母からの着信

昔からいわゆる「おばあちゃんっ子」だった私。両親が共働きだったので、小学生の時はよく祖母の家に行って晩御飯をごちそうになったり、今日学校で何があったかなどの話を聞いてもらったりしていました。中学・高校に上がると、私も交友関係が広がり部活などでも忙しくなって、小学生の時ほど祖母の家にも寄り付かなくなりましたが、それでもたまに遊びに行くと温かく迎え入れてくれた祖母。ところが、数年前に体調を崩し、よく入院するようになってしまいました。上京したことで、お見舞いにもあまり頻繁には行けなかったことが今も悔やまれます。
ある日の深夜2時くらいのこと。寝ている時に着信がありました。番号を見ると、祖母の家からでした。何かあったのかとすぐに出たのですが、電話口の向こうは無言。「もしもし?」と何度も呼びかけてみても反応はありません。しかし、よく耳をすませると波のような音が聞こえたような気がしました。そして、そのまま電話は切れました。翌日、母から祖母が亡くなったことを聞かされました。ありきたりですが、もしかしたらあの電話は、祖母がお別れを言いに来てくれたのかなと思っています。今でも優しかった祖母のことをよく思い出します。そのたびに、私の心はぽかぽかと温かくなるのです。
(優里恵さん 25歳・茨城県)