第85回 憑く生き霊
悪縁が断ち切れない人
とある病院の整形外科病棟で友人が知り合った、という男性の話です。
バイク事故で入院中の男性が精神科にも罹っていること知った後、あまり女性から男性へ声をかけても万が一、奥様や彼女がお見舞いに来ていたらいけない、と思い食事待ちの時間に話しかけてみたそうです。
彼の話では、元カノにしつこく付きまとわれ、一人暮らしの彼が自宅の様子を見るため外出すると後ろから付いてきていたり、また病院の売店に行くと必ずといっていいほど元カノが外来客にまぎれてこちらを見て付いてくる、と。彼は骨折で入院したのに、急な頭痛、吐き気、全身骨折のように体中が痛かったりする、眠れない、整形で注射を打ってもらっているが効かず、ついには精神科をすすめられたそうです。
出た病名は「うつ」。最初は事故のせいで一時的に「うつ状態」に入ったのだろうと思われていたので、彼は元カノの存在を先生に相談しました。先生からの判断は「無視すればいいでしょう。どんな人ですか?病院側としてもあなたを保護します、外来にいたら近くの看護師でも受付でもいいので声をかけてください、対応します」と。
しかし、彼の症状はだんだんとひどくなり、非常に疲れやすく、顔色も悪い、食欲も無くなってきました。友人は「強くつっぱねればいいじゃないですか?ストーカーじゃないですか、役所に相談すべきです。スマホのブロックとかはしましたか?可哀想なんて思っちゃだめです。だってもう2度と会わなくてもいいんでしょ?」と言ったそうですが、「拒否しても家に入ってくるんだ、役所にはまだ…」との答えだったそうです。
友人としては彼の優柔不断な性格が一番いけない、ダメなものはダメ、警察を呼ぶ、と言えばいいのに、と言っていました。「家に入ってくるって、男性が女性を押し出すくらい簡単でしょ」。しかし後で知ったことによると、どうやら結論は、“彼も元カノも生霊に障られている”だったそうです。
本来、生霊は本人の意思どおりに飛ばせるものではありません。どちらかというと好き勝手にされてしまいます。しかし、この元カノの性格は聞く限り、なんでもかんでも人のせいにし一方的に想い執着しているようで、元カノ自身も自身の生霊に弱らされているのでした。彼の優柔不断な性格も実は生霊の障りが大きく、結局は二人して自滅しているのでした。
生霊は放っておくと「最期」まで憑いてくると聞いたことがあります。わたしは友人を通して彼に「まずは自宅玄関内に左右2個所粗塩で盛り塩すること、元カノの思い出があるものはすべて可燃物で処分すること、帰宅したら掃除をして、換気すること」を伝えました。知人の霊能者に聞いたら、そう言われたからです。しかし、生霊のせいで彼の心は弱り、盛り塩をしても結局元カノを家にあげてしまうようで、生霊どころか低級霊まで引き入れてしまったのではないかと思える状況にまでなってしまったそうです。
わたしとしては、花染のような本物の霊能者がいる専門的なところに相談するように勧めるのがやっとでした。遠隔でも電話でも「除霊」を行なえる霊能者がいますし。それにしても、「優しく、弱い人」ほど生霊に憑依されやすく、強く拒絶反応を起こすのだなと実感した出来事でした。
(春さん 35歳・愛知県)